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2014年4月の1件の投稿

2014-04-04

【アート】法華寺と長谷寺の十一面観音立像

平安時代と室町時代、2つの時代の十一面観音立像を比較してみる。

(1)法華寺 十一面観音立像

本仏像は、平安時代初期(9世紀中頃)の作とされる。78世紀に中国から伝わった経典「仏説十一面観音神呪経」に記載された造法と日本独自の仏像解釈を取り混ぜて製作された。

例えば、11の頭、正面慈悲3面、左3面瞋面、右3面菩薩面、頂上仏面、各面に花冠、左手に蓮花、と経典に説かれた通りの様式が取られている。
一方、素材は調達が難しい白檀から自生している香り高い榧に、身長は1尺3寸(約40cm)から100cmに変更されている。

さらに、平安時代前期に流行した翻波式衣文が刻まれ、右手は念珠ではなく印を結んだ指で衣をつまむ複雑な造形になっている。

法華寺は光明皇后ゆかりの門跡尼寺ということもあり、本尊として女性的な雰囲気を併せ持せている。実際の女性を模したかのような写実的かつ柔らかな肉体美が特徴である。

(2)長谷寺 十一面観音立像

本仏像は1538年に再興されたもので、経典伝来から1000年近く経った為か、あらゆる部分で独自解釈が展開されている点が特徴となっている。

最も大きな違いは10メートルを超える全高である。建立期が室町時代後期の争乱期で戦乱で多くの苦しむ民衆がいたことから、平和を願う民衆の気持ちに応えるべく、大きく安楽できる信仰対象にする必要があったと推測される。

これを裏付ける様に、本来は地蔵菩薩が持っている錫杖を本像は右手に念珠といっしょに持ち、悩み苦しむ人を救済する地蔵菩薩の徳をも持たせている。

また、豪華な光背装飾や漆箔仕上げ、顔の豊かな肉づき、めりはりの強い目鼻立ち、堂々たる重量感に満ちた体部の造形は、来世から降臨したかの如く感じられる。

これらは鎌倉期仏像の特徴であるが、法華寺 十一面観音立像など平安期の仏像を圧倒する雰囲気を醸し出しており、信仰対象として存在価値を高める一因にもなっている。

-ENDE-

  

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